この春スクールカウンセラーになる人へ(2)

こんにちは、きょんです!

 

前回に続いて、この春スクールカウンセラーになる人へ(2)です。

前回は「院卒1年目は難しい」といきなりがっかりさせられるようなことを書きましたが、今回はその上でできそうなことを書いていきたいと思います。

 

指導を受けよう

 SVはぜひ受けましょう。私は個人SVでしたが、グループSVでも色々なケースを聞けるのでよいかもしれませんね。その際の注意点は、やっぱりできればSC経験のあるバイザーにお願いする方がよいと思います。学校現場にいた感覚があるとないとでは、助言に違いが出るんじゃないかなと思います。まあ、何を指導してもらうかによるのですが。ケースの見立てだけならSC経験のないバイザーでもたくさんの教えを得られるかもしれません。あとSVがどうしても受けられない人でも、地域の臨床心理士会などで諸先輩方の話を聞きに行くようにしましょう。そういう場所でSVをしてもらえないか思い切って尋ねてみると意外と引き受けてもらえたりします。これも全く個人的な感想ですが、長く開業されている心理職(いわゆる私設心理相談されている心理職)の方々の指導のレベルは高いと感じます。やはりそれで飯を食っているのですからね。

 

地域の関係機関の情報を集めよう

 学校によって違うのかもしれませんが、私が多く受ける相談の1つに「発達障害ではないか」があります。このような場合、時にはすぐ医療機関に行く方もいれば、まず発達検査で得意不得意を把握して校内で支援して・・・という方もいて様々です。他にもいろいろなケースがありますが、必要な地域の関係機関の情報を集めておくことは必須です。①発達検査を受けられる機関(地域の教育相談センター、私設心理相談とか)、②医療保健機関、③療育機関、④放課後デイサービスあたりです。でも赴任してすぐにこのような情報を集めるのはどうしたらよいか?私は、管理職、養護教諭、特別支援コーディネーターに教えてもらいました(養護教諭は結構詳しい印象です)。ですので「すいません、この学校だと発達検査ってどのあたりに受けに行く人が多いですか?」と率直に聞いてみるのも1つでしょう。都道府県の臨床心理士会の研修などで「都道府県内の機関」と大づかみに情報を集めるのもよいですが、保護者にとっては「この学校の人たちはどの辺に行くのだろう」というネットでは得にくい情報を聞ける方が安心感を持たれることもあります(もちろん、あえて遠方に行きたい人もいないではありませんが)。

 

いわゆるコンサルテーションの現実(学校の先生はとにかく忙しい)

 校内で「コンサルテーション」となった場合に、じっくり時間を取って話を聞くことは「まれ」です。ほとんどは、廊下ですれ違いざまに話す、授業の空き時間に少し話す程度です。じっくり話す場合には職員夕会の後もありますが、先生たちはクラスのことや学年・学校全体の仕事など忙しいことを忘れないようにしましょう。先生方が、「では具体的にどうしたらいいですか?」といつも具体的な事柄を聞かれる背景にはこの忙しさもあるような気がしています。長くても10分程度で終わるように私は心がけています。でも、先生の方から話しかけてくれるということは、それだけニーズが高い事案があるということですから、事実関係を確認しその後の支援につなげたいですね。例えば、教室に行動観察に行くとか、保護者にSCとの面談を勧めてもらうとか。慣れてきたら特別支援コーディネーターなど他の先生につなぐことも出てくるでしょう。担任にその場でSCの立場で提案・助言をして終わる場合も、しばらくしてその事案の様子を尋ねるとか。すぐ答えられなかったら後日返答するとか、関連資料を机上に置いておくとか。うーん、わざわざ書くほどではない当たり前のことばかりだ・・・このあたりの動きはすることがその後の面接をする上でも役立つという岩倉先生の「治療0期の「耕し」と「治水」―精神分析心理療法の現場実践」の論考は勉強になりました。この本に収録されています。

心理臨床家の成長

心理臨床家の成長

  • 発売日: 2013/03/12
  • メディア: 単行本
 

 目次はこちら

心理臨床家の成長 - 株式会社金剛出版

 

あと、初心SCの事例が載っていて実際的な動きがレポートされており、しかもSVの具体的なやりとりが載っている貴重な本として以下があります。これは力動的な立場のSVですがそのプロパーでなくとも理解できると思います。難解な専門用語とかなかったと思います。SCの事例だけではありませんが、全て読むべし。勉強になります。

 目次はこちら。

事例で学ぶアセスメントとマネジメント - (株)岩崎学術出版社 精神医学・精神分析・臨床心理学の専門書出版

今見てみたら、こっちの本にも岩倉先生の「治療0期」の論考が入っていますね。

 

まあ、はじめ(1学期ぐらい)は職員室にいても居心地が悪かったり、なんとなく孤立感を覚えるかもしれませんが、そういうものです。養護教諭の先生に学校の様子を尋ねに行ったり、管理職に1週間の中で気になる児童生徒はいないか確認したり、校内を意味もなくぶらついてみたり。すごく暇ならお便りを作ったりしてみてはどうでしょうか。私は1年目は「自分が学校に慣れる期間だ」ぐらいに思って過ごしました。高い日給をもらっているのにこんなことでいいのかと葛藤するかもしれませんが、焦って何かしたくなる時ほどうまくいかないんですよね、なぜか。のんびりしすぎているのかもしれませんが、それでも翌年以降は相談がいっぱいで面接室からほぼ出られない日が出てきました(それはそれで困りますが)。正直、何年経っても私は、職員室でよく関わる先生、ほぼ関わらない先生など濃淡ができてしまいます。本当はよくないと思うのですがSCから何か言われたくない先生がいらっしゃるのも事実ですので、そこを無理に関わっていかなくても必ずしもよいかと思っています。もちろん必要があれば動きますよ?でもひとまずは、関わりやすそうな先生から関係を広げていけるといいですね。

 

前回「院卒1年目でSCは難しい」と言いましたが、いくつかできそうなことを書いてみました。当たり前のことばかりで、お目汚しでしたが参考になればうれしいです。