【保護者向け】我が子が特別支援教室を勧められたら確認したい3つのこと

こんにちは、きょんです!

今回は「我が子が学校から特別支援教室を勧められたら何を考えてどうしたらよいか?」について、学校に出入りしている現場の心理士としての思うことを書いていきます。

 

今回の内容は大きく3つです。

1、特別支援教室とは何か?

2、「我が子を問題児(障害児)扱いするのか!」と怒りが湧いてきたら

3、あなたの住む自治体の情報を必ず確認しましょう!

以下、1つずつ述べていきます。

 

1、特別支援教室とは何か?

(1)設置目的

 特別支援教室とは大まかに言えば、通常学級に在籍しながら、発達障害自閉症スペクトラム障害ADHD学習障害)や情緒障害(選択性緘黙など)などを持つ児童生徒が生活により適応するため、個別指導や小集団指導を受ける教室のことです。診断の有無は必須ではありません。

 これを厳密にいえば、特別支援教室の目的は「発達障害等のある児童・生徒が学習上又は生活上の困難を改善・克服し、可能な限り多くの時間、在籍学級で他の児童・生徒と共に有意義な学校生活を送ることができるようになることである(東京都 特別支援教室のガイドライン第一部P.8)」とあります。法的根拠は学校教育法などです(詳しくは文科省のホームページ)。注意しなければならないのは、実際の運用は自治体や学校によるかもしれませんが、発達の特性や診断があっても「家庭で困っている」とか「今は問題ないけれど将来を考えて心配」だとしても、今現在学校生活で支障がないと判断された場合には申請しても利用できないことがあります(私の知る範囲ですが)。

(2)指導頻度

 指導頻度は、週1~2ぐらいが多いです。授業を抜けて指導を受けますが、どの授業を抜けるかは指導の空き時間やどの授業を抜けると弊害が少ないかを勘案して行われるようです。利用者の多い学校だと、そこまで考慮できず空き枠に入れられるかもしれません。地域によって違うかもしれませんが、特別支援教室自体は各学校に設置されているけれども、先生たちは拠点となる学校から曜日ごとに来る形をとっているところもあります。従って先生は毎日いるとは限らず実質的に指導できる枠は限られます。ガイドラインでは、自閉症・情緒障害の場合は週1~8単位時間、学習障害ADHDの場合は月1~週8単位時間、年間MAX280時間となっています(東京都 特別支援教室のガイドライン第一部P.11)が、週8単位時間もしている学校は私は聞いたことがありません。

(3)指導する先生

 指導する先生は、学校教員です。つまり、長く特別支援教室を担当している先生もいれば、通常級のキャリアは長くても特別支援教室は1年目という先生もいます。もちろん内部で研修があったり、日常的に先輩に指導を受けるなどはされています。ですが、専門性の高低はどうしても生まれるため「指導をお願いしっぱなし」ではなく、保護者としても日頃から先生とコミュニケーションを取り指導状況を確認する、保護者の心配を率直に伝えることも大切だと思います。先生とどうコミュニケーションを取ればいいのか、何をどんな風にお願いすればいいのか悩まれる場合には(ほとんど率直にお伝えされると受け止めてくださいますが)、養護の先生や特別支援コーディネーターの先生、スクールカウンセラーの先生などに相談するのも1つでしょう。1つポイントがあるとれば、指導に先立ち「個別の指導計画」を本人、保護者、学校とで確認して作っているはずですので、それに則って指導状況が今どうなのか、指導内容を聞いて「?」と思うことがあれば「個別の指導計画」の確認や見直しについても相談されてもいいかもしれません。先生方は指導のプロなので「〇〇してください!」よりも「〇〇ってできたりしますか?」など「相談」という形で持ちかける方が話が通りやすいかもしれません。

(4)他の学級

 なお、似ている言葉に「特別支援学級」や「ことばの教室」などがあります。

 「特別支援学級」は昔は特殊学級などと言われており、現在は地域や学校によりますが「固定級」などと呼ばれることもあります。文科省によれば、対象は知的障害者肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者、弱視者、難聴者、言語障害者、自閉症者・情緒障害者です。こちらは、1日中このクラスで指導を受けます。クラス定員は通常級より少なく、配置されている教員は通常級よりも多いので、手厚い指導を受けられます。なお、一度在籍したら通常級に戻れないわけではありませんが、授業進度や周りからどう思われるかなどの問題のために通常級に移るのは中学進学時などが私の周りでは聞きます。印象としては、中学も特別支援学級→高校も特別支援学校高等部(厳密には高校卒業資格は与えられません)という方が多いように思います。

 

 一方、ことばの教室は、「きこえ」や「ことば」に心配があるお子さんの通級指導教室です。厳密な対象は「口蓋裂、構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のある者、吃音等話し言葉におけるリズムの障害のある者、話す、聞く等言語機能の基礎的事項に発音の遅れがある者、その他これに準じる者(これらの障害が主として他の障害に起因するものではない者に限る。)で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの」とあります(文科省)。なお、「通級」ですので、拠点の学校に定期的に通う形が多いと思います。

 

2、「我が子を問題児(障害児)扱いするのか!」と怒りが湧いてきたら

 長々と特別支援教室について説明してきましたが、学校からその利用を提案された保護者の中には「我が子を問題児(障害児)扱いされた!」と腹が立つ方もいるかもしれません。いくら学校側が準備をして言っているとはいえ、言われる保護者からすれば突然なのですから無理もありませんよね。驚きや戸惑いや傷つき、育児を否定された感じなどさまざまな気持ちが怒りとして湧き起こっているのかもしれません。

 少しその気持ちが落ち着いたら、このことを知っていただきたいと思います。学校側は、お子さんを問題児扱いしたくて特別支援教室を勧めている訳では決してありません。将来の学校生活の適応を少しでも上げる、つまりお子さんが否定されたり自信を失うことを少しでも減らして自分を認めてあげられるようになるために学校側は勧めていることがほとんどです。そして、勧めるにあたっても、担任の一存ではなく、巡回相談心理士や特別支援教室の先生などが様子を見たり、校内で会議をするなどして、勧める根拠を積み重ねた結果、提案をします。おそらく多くの場合は、日常的に保護者と担任とで「今日はこんなことがあった」などとやりとりがなされているとは思いますが。。。

 ただ、心理士としては「だから学校の提案をすぐ受け入れるべきだ」とは思いません。少なくとも保護者がその必要性を感じてある程度納得した上で、お子さんにも話す方がお子さんも理解しやすいと思うからです。その納得のためにも、指導する教室を見せてもらう、特別支援担当の先生と話す、担任と教室を抜ける時の配慮について確認するなど、少し動いてみることもお勧めすることがあります。

 個人的には、特別支援教室に通っている子たちを見ていると、指導時間が確保されていることで、担任だけではどうしてもカバーしきれない対人関係の持ち方の習得がしやすい、トラブル後のふりかえりと次にどうすればいいかの確認できる、個別指導の場合は「自分だけの先生」がいることで精神的安定を得やすいなどのメリットがあるように思います。

 

3、あなたの住む自治体の情報を必ず確認しましょう!

(1)名称

 特別支援教室は、自治体や学校により呼び名が異なります。例えば東京でも、新宿区なら「まなびの教室」、港区なら学校により「はなみずきルーム」「芝っ子ルーム」など違います。

(2)申請の時期は年2~3回しかない

 特別支援教室の申請時期は限られています。これも自治体によりますが、大体年2~3回が多いようです。そして、〆切は結構早いです!早く動かなければなりません。〆切を逃すと早くて次の学期から、あるいは翌年度からということになります。

(3)特に発達検査の申込みはお早めに!

 特に早く動かなければならないのは、発達検査です。特別支援教室には、特別支援のニーズがあるかどうかを示す根拠が必要となりますが、その根拠の1つとして発達検査が求められることが多いです。ただ、診断がすでに下りている場合などは不要という自治体もあるかもしれません。このあたりのことは早めにご確認ください。

 そして、もし発達検査が必要と言われたら、できるだけ早めに相談機関や医療機関に申し込まれることをお勧めします。発達検査は申込から所見を手にするまで時間がかかることが多いからです。検査は、自治体の特別支援教室を担当する係(就学相談係など)や、教育センター、医療機関などで変わってくるでしょう。私の知っている自治体であれば、就学相談係や教育センターでも平均して約2カ月かかります。発達検査の所見が手元に来るまでにどれぐらいの時間がかかるのか、さすがにそこまで担任をはじめ学校は知らないこともあります。特別支援教室を勧められて保護者と本人が希望したとしても、期日までに検査の所見が手元に届かないこともあるのです。従って、繰り返しになりますが極力早く申し込みをされることをお勧めします。

 

 発達検査について詳しく知りたい方は、以下の2冊が分かりやすいと思います。

発達検査は教職員や専門職向けの物が多く、保護者向けに分かりやすく書かれたものは少ないのですが、この2冊は比較的平易な言葉で書かれています。

 

まずは熊上先生たちが書かれた本。WISCなどの検査の結果をもらったはいいけれど、どう理解して活用すればいいのか、学校に提出したけれどそれで終わり?活用するためのヒントが載っています。

 

次は安住ゆう子先生の本。安住先生は専門職の研修でも人気の先生で分かりやすいと定評があります。「心理検査の概要やその役割、子どもの特性をどうとらえたらよいのか、どんなふうに検査結果を学校や家庭でいかせるのかがわかる本です」と商品ページの説明にありますがまさにその通りです。

 

 

(4)特別支援教室利用申請の流れ

 流れをごく大まかに示すと、学校(担任)と保護者・本人とで相談→学校で校内委員会→自治教育委員会での判定委員会→入室が「適」となったら改めて保護者・本人と学校との合意形成、となります。詳しく知りたい方は、お子さんの学校でご確認をいただければと思いますが、参考までに東京都の流れは「特別支援教室の入退室等検討委員会報告書」(P.14)で確認することができます。

 

 今回は主に、特別支援教室の利用申請までの部分についてご紹介しました。

 あくまで私個人の視点から、知っている自治体の状況を念頭にした情報です。

 必ずお住いの自治体にご確認くださいね。

 

 ご参考になれば幸いです。

 お読みいただきありがとうございました!

 

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