【保護者向け】発達検査を受けた後どうすればいいか?(1)

こんにちは、きょんです!

私は教育関係施設で心理士として働いており、幼児~高校生までの子・保護者と日々会っています。その中で発達検査(WISC-4という知能検査が念頭に置かれている場合が多い)に関する相談もよくお受けします。

先日アップした記事が、私の他の記事と比べてPVが多いようです。ありがとうございます。

educp.hatenablog.com

それほど学校から発達検査を勧められて困惑したり悩んでおられる親御さんが多いのかもしれません。実際に現場で相談を受けていても「学校から検査を受けるように言われて・・・」という声は年々増えています。

 

親御さんの中には、悩んで悩んで発達検査を申し込んで我が子に受けさせたという方もいらっしゃるかと思います。そして結果を告げられて、我が子の「得意・不得意」や「特性」が分かる・・・

ところが、結果が出た後に次のような戸惑いの声もよくお聞きするのです。

「発達検査を受けたけれど、これからどうしたらいいか分からない」

「所見を読んだが(具体的にどうしたらいいか)よくわからない」

という声です。

 

そこで今回は「発達検査を受けた後はどうすればいいか?」について書こうと思います。もちろんお子さん一人一人違うので正答がある訳ではないのですが、いくつか考えられることがありますので参考になりましたら幸いです。

要点は3つです。

1,親の「わが子理解」を確認する

2,外部機関の利用について考える

3,家庭でできることを考える

1つずつ見ていきます!

…と意気込んで書き始める分量が多くなってしまったので今回は1についてのみ書きます💦2,3は後日アップします!

ただ、この3つの中では1が最も大切だと思っています。

 

 

1,親の「わが子の理解」を確認する
  ~子ども世界を追体験してみると具体案が出てきやすい~

⑴検査結果を聞いてよく見られる感想

所見を受け取った親御さんからしばしば聞かれる言葉が「ほぼ思っていた通りでした」というものです。「じゃあ取る意味ないのでは?」と思われるかもしれませんが、その感想は半分当たっていて半分当たっていないと思っています。

「ほぼ思っていた通り」。この感想の場合、検査担当者としてはちょっと複雑な気持ちです。結果が普段のお子さんと大きく違っていなかったという一方で、せっかく受けてもらったのに新しい発見を大して提供できなかったのですから。これにはいくつかの要因があります。①検査担当者(私)の力量不足、②問題の要因把握の方法として、WISCだけでは不十分だった、③親御さんが問題を日頃から的確に把握していた、などです。①、②ならば検査担当者が腕を磨かねばなりません。②の影響が強いならばもちろん別の検査を提案して追加することもあり、その結果問題が見えてくることもあります(分かりやすい例で言えば、WISCの一部の課題が落ち込んでいたので視知覚のスクリーニング検査を行ったら視知覚が苦手だったとかですね)。③なら、親御さんの「わが子理解」は客観的になされてることが示された訳ですので「理解」についてはこれまで通りでいきましょうということになります。日頃の親御さんの理解に根拠が加わったということになります。

いずれにせよ所見をもらったら、「外部機関の利用や家庭でできること(後日アップします)」を考えるといったアクションを起こしていくことが多いと思いますが、その前にちょっと立ち止まってみてほしいのです。

(2)わが子の学校での様子を追体験してみる

検査結果を踏まえて得意不得意が見えてきたら、毎日お子さんが学校などでどんな体験を続けているのか想像してみましょう。例えば、しょっちゅう友達に手を出していた子が、自己中心的と思っていたら言語理解の力が極端に低かった、いつも宿題を忘れている子が、不注意だと思っていたら視覚刺激に引っ張られすぎて学校に持っていくのを忘れていたなど。こういう特性に基づく体験は多くのお子さんにとって当たり前の世界ですから、言葉で説明してくれない(できない)こともあります。従って周りの大人が察してあげる必要が出てきます。察して想像したら、次は「もし自分がこの子なら」と考えてみてください。すると「できればこうしてほしいなあ」ということが出てこないでしょうか。ここが今後の支援の原点になります。支援に迷ったら常に立ち返る場所です。

(3)「ウチの子は○○してほしいんじゃないか」というアイデア

所見を読んで「具体的にどうしたらいいか分からない」ときには、遠回りのようですがこのようにしてみることで、「ウチの子は○○してほしいんじゃないか」というアイデアが出てくることがあります。例えば「お友達に手が出そうになったら先生に思いを言葉にしてほしい」「宿題をする空間から物を減らしてほしい」など。些細なものでOKです。このことを「提案」としてお子さんに「○○をしてもらえるとあなたも助かると思うんだけど・・・」と直接尋ねたり(特に中高学年の場合は尋ねる方がよいです)、尋ねてもお子さんがわからない場合は実際に学校などに相談して試してもらって「あたり」を探していきます。もちろん試すのが短期間・長期間と、内容やお子さんによって様々です。

「○○してほしいんじゃないか」ができてきたら、次はそれを細かくしていくことも1つです。例えば「お友達に手が出そうになったら先生に思いを言葉にしてほしい」なら、「その場から離れる」「先生に自分の思いを言葉にしてもらい1つずつ合っているか確かめる」「あとでどんな気持ちだったかふりかえる」「先生に自分の思いを三択ぐらいで出してもらう」「自分の思いは分かっているので、適切な伝え方を練習する」などできることを細かく細かくわけていきます。このとき守りたい原則は、「一課題一目標」です。つまり「自分の気持ちを自覚して相手に適切に伝える」は1つの課題に「気持ちを自覚する+相手に適切に伝える」と2つの目標が入っているのでおすすめしません。まずは「自分の気持ちを自覚する」目標、次に「相手に適切に伝える」目標の順となります。

あ、ちなみに子どもたちに何かしらのスキル(友達との付き合い方とか整理整頓とか)を教える時に、口で「○○するのよ」などとだけ言う方もまれにいらっしゃいますが、これだと下手をしたら毎回言い続けることになってしまいます。スキルを教える時の原則は、①「代わりにする(してみせる)」→「解説して一緒にする」→「一部手伝う」→「全部させてみる」の順です。これらを、②行きつ戻りつ、繰り返す。幼児のとき、おそらくこのように教えてこられたのではないでしょうか。これは大人まで当てはまるスキル獲得の大原則です。昔の軍人の山本五十六は「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」と言ったそうですがこれとほぼ同じです。

ただ、「○○してほしいんじゃないか」というアイデアが全く出てこないこともあります。そういうときの工夫としては、相談機関で具体策にどんなものがあるかを教えてもらう(実は何気なく家庭でしていることがすでに支援になっていることもあります)、「親として○○すべき」という考え方が強くなりすぎていないか確認する(その場合は、「もしその制約が一切なかったとしたらどうか」と思いを巡らせてみると出てくることもあります)ということなんかが考えられます。

 

ということで、長くなってしまったので今回はいったんここで終わらせていただきます。続きの、

2,外部機関の利用について考える

3,家庭でできることを考える

は後日アップ予定です。よろしくお願いします。

【今日のおすすめ本】

不定期ですが、ご家庭で使えるおすすめの本をご紹介していこうと思います。

今日は「はなまる学習塾」の高濱さんが監修された『おやくそくえほん はじめての「よのなかルールブック」』です。高濱さんのモットー「メシが食える大人」は私も好きな考え方です。

内容としては詳しくは以下のリンク先をご覧いただければと思いますが、例えば

・なにかしてもらったら、「ありがとう」という
・なにかしてしまったら、「ごめんなさい」という
・せきやくしゃみをするときは、てやハンカチでくちをふさぐ
・「いや」とかんじたことは、ちゃんとあいてにつたえる
・ようじがあるなら、じぶんでいく
・ふきげんでいない

など学校や生活で必ず求められる「やくそく」が載っています。

絵本ですので、就学前や小学校低学年~中学年なら通用すると思います。

特に、普段あまり本を読まない、目で見て理解する方が得意なお子さんなら学年が少し上でも読みやすいのではないでしょうか。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

 

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