【保護者向け】小学校で発達検査を勧められたら確認したい3つのポイント

こんにちは、きょんです!

私は教育関係施設で心理士として働いており、幼児~高校生までの子・保護者と日々会っています。その中で発達検査(WISC-4という知能検査が念頭に置かれている場合が多い)に関する相談もよくお受けします。

 

今回は、特に小学校で我が子が発達検査を勧められたら押さえておきたいポイントを3つご紹介します。

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小学校で発達検査を勧められる際、学校が心配するお子さんの言動として多いものを列挙すると、「離席が多い」「整理整頓ができない」「衝動的に手を出す」「ぼーっとしている」「指示を聞いていない」「宿題や提出物を忘れやすい」「気持ちを適切に言葉で伝えられない」「行動が遅い」「切り替えが悪い」「友達関係で空気を読めない」「字義どおりに捉えがち」「パニックになりやすい」「感覚過敏がある」「学習全般に遅れがある」「字の読み書きが年齢相応にできない」「いつまでも鏡文字がある」「算数が際立ってできない」などがあります。

 

勧められるタイミングはケースバイケースですが、学年が上がって(あるいは入学して)1学期はクラス自体もまだまとまりが取れなかったりして「少し様子を見よう」となりがちですが、2学期になっても様々な指導にもかかわらず改善傾向が見られないといよいよ心配される、というパターンをよく耳にします。1学期から発達検査を勧められるのは、ケースバイケースですが、前年度から言動が心配されている場合(例:1年生なら就学支援シートを園から学校に提出していた、前年度から言動が指摘されていた)、授業中に全く席につけないなど周りと比べて行動問題が顕著な場合、明らかに年齢水準よりも学習全般に遅れが見られる場合などがあるようです。

 

そのようなことで担任や学校から発達検査を勧められた場合に、保護者としては驚きやショック、怒りなどあると思いますが、それらが少し落ち着いてたら確認できるとよいポイントを3つご紹介します。

 

1,担任が心配している言動と指導、その結果を具体的に聞き取る

2,学校や学童、家など複数の場所での言動を比べる

3,前年度や前々年度の言動と比べる

以下、1つずつ述べていきます。

 

なお、学校の種別(主に小中ですが)にかかわらず学校から発達検査を勧められたらどうしたらよいかについて以前記事を書いていますので、よろしければご覧ください。

educp.hatenablog.com

 

1,担任が心配している言動と指導、その結果を具体的に聞き取る

 担任が心配している言動を保護者として確認するときの大前提として、「担任は敵ではない」という態度が大切と考えます。最近、「担任を信用する」ことが難しくなっているケースを見聞きします。担任を信用できなくなる事情は複雑なことも多く、わが子への日ごろの指導や保護者対応などへの不信感が積み重なって、その上で「発達検査を」と勧められると、保護者からすれば「学校側の都合で子どもが問題児扱いされている」と受け止められることは無理もありません。ともすれば一足飛びに「服薬した方がいい」などと言う先生も全くいないわけではなく、これなどは親からすれば「学校管理のために薬を飲めと言うのか!」と怒りを買うのは当然です。このように、個人的には学校と保護者の信頼関係についてはまずは学校の配慮や努力が欠かせないのは言うまでもありません。

 ただし一方で、担任の対応に1ミリでもいたらない所があると「担任=敵」と捉えるケースもないことはありません。そうしてしまうと、結果的にわが子への支援がマイナスに働いてしまうことがあります。「味方or敵」の二分法ではなく、せめて「味方orふつうor敵」の三分法ぐらいで捉えれると衝突姿勢がやわらぐかもしれません。実情として、35人や40人の子どもを教師一人が見ていると行き届かないことがどうしても出てくるんですよねえ・・・(もちろん大きなケガやいじめなどは問題外です)

 あ、ちなみに行き届かないこともプラスの面を挙げるならば、子どもの中に「自力でしなければならない」「全体に合わせて行動しなくてはならない(欲求や気持ちをコントロールしなくてはならない)」と考えて、実行したり葛藤する力が育つことが考えられます。

 前置きが長くなりましたが、では担任には具体的に何をどのように確認すればよいかの例をお示ししていきます。私が検査を取るときに保護者や学校に確認するポイントでもあります。

⑴どんな言動か?

 担任から心配なことがバラバラと話されるかもしれないので、大きく3つに分けて尋ねたり理解していくと頭が整理しやすいでしょう。もし面談することになったら、以下のような項目を書いたメモを持参して書き込むことも1つです。

a)学習面

字を読めるか(ひらがな、カタカナ、漢字、読めなくても大人が読んであげれば理解できるか)、字を書けるか、文章読解、作文(短文、長文)、計算(四則演算、筆算、数字での計算が苦手な場合は具体物や半具体物ならできるか)、問題文を読んでの立式、姿勢、鉛筆の持ち方など

※特に学習面はプリントやワークなど現物を元に具体的にどの部分を指して担任が心配しているのかを確認できる方がよいでしょう。そしてそれをチェックして今後相談機関を利用する時には持っていけるよう、可能ならばコピーや写真を撮らせておいてもらえると、相談機関側も評価がしやすくなります。

b)生活面

朝のしたくができるか、連絡帳を書けるか、全体指示を聞けるか、授業が終わったらしている作業が途中でも切り上げられるか、次の授業のしたくが速やかにできるか、発表ができるか、教室移動ができるか、班行動や班での話し合いができているかなど。

小学校のよい点として担任が基本的に一人で一日中見ているので、午前と午後の違いなど1日の中での変化なども聞けるとよいかもしれません。

c)対人面

学校で他の子と話しているか、どんな子と仲がよいか、相手に自分の考えや気持ちを年齢相応に言葉で伝えられるか、喧嘩をしたときに謝ることができるか、なんでも1番へのこだわりはないか、思い通りにいかないときに「まあ、いいか」と思えているかなど

(2)指導とその結果はどうだったか?

これは聞き取りづらいかもしれませんが、すでにどのような指導が試されてどんな結果だったか(うまくいっていないからこその発達検査の勧めなんでしょうが)、できれば確認しておけるとよいでしょう。これをしておかないと、検査所見に対応について書かれる際、「それはもうしてるよ!」と言うことになりかねないからです。

尋ね方としては、例えば「離席が多いということですが、そういう時には先生は普段どのように指導してくださっていることが多いのでしょうか」などが1つでしょう。

細かな指導方法については私は詳しくありませんが、先生方からよく聞く指導は、「席替え」「個別の声掛け」「視覚呈示(これは意外と先生によって差が大きい)」「支援員をつける(これは期待を大きくしない方がいいと思います。専属はまずないためです)」、低学年なら「ご褒美シール」などです。おそらく実際にはもっと色々な工夫がされていると思います。

 

2,学校や学童、家庭など複数の場所での言動を比べる

1で心配な言動が確認できたら、学童や家庭など他の場所ではその言動がどの程度見られているかを比べてみましょう。こういうことは一人でできる方もいますが、他のご家族がいれば一緒に話し合うなどすると思い出しやすくなることも多いようです。

そして、発達の特性の場合に「基本的には」場所が変わっても言動はそれほど大きくは変わりません。ただし学童や家庭などで、自然と特別支援が行われている(お子さんの特性に即した関わり方がなされている)と場所が変わると言動が全く見られないなどということがあります。従って、ここでも学校と同じように、「心配な言動の有無+周りの人の関わり方」をセットで確認することが大切です。例えば、視覚有意で忘れっぽいお子さんで学校では忘れ物が多いけれど家庭ではない場合、よく聞くと家庭では子どもに分かりやすく持ち物リストが提示されている+出かける前の確認の時間がルーティン化しているということなどもあります。

これは少し脱線しますが、学校のみで見られている場合、行動問題の要因として発達特性だけではなく、情緒的な要因も考えると子どもの求めていることが見られる場合があります。例えば発達特性のあるこの情緒的な発達はゆっくり進むことがあるのですが、それに見合った関わりが家庭などでなされていない場合に不満感を抱いたり、行動問題を起こすことで注目を得ようとする子もいます。多くの保護者の方々は何よりも自分を責めて苦しまれているのですが、一部に様々な理由から親子関係で情緒的なやりとり(甘える-甘えさせるとか、一緒に遊ぶとか)を苦手としている保護者もいらっしゃりそのことが子どもの心配な言動を増強しているように見受けられるケースもあります。少しずつ保護者のできる範囲で情緒的なやりとりをしていくことで、言動(離席、不注意など)がやわらぐことが臨床上はあることもお伝えしておきたいと思います。

3,前年度や前々年度の言動と比べる

2で「複数の場所」で比べた後は、「複数の時期」で比べて確認しましょう。

前年度はどうだったか?さらに前々年度はどうだったか?1年生など低学年の場合は、1年の発達による言動の違いが大きく表れますので、違いが大きくなるかもしれません。にもかかわらず「小さいころからずっと、相手に『太ってる』とか言うべきでないことを言う」とか、「昨年度担任もクラスも違ったけれど、離席していた」などであれば、やはり個人的な要因(発達特性)による影響が強いのかもしれません。

前年度の様子などを思い出しにくい時には、通知表(特に担任からのコメント欄)や連絡ノートなどを振り返ってみると思い出しやすいのではないでしょうか。

このときに1つ注意したいことは「昨年度は担任から何も指摘がありませんでした」というものです。実は指摘がないから問題がなかったとも言い切れません。気になる言動があっても保護者に伝えられていなかった(学校内では心配されていた)というパターンも一定程度あるからです。例えば、クラスで他に手助けが必要な児童がいた場合などに保護者へ伝えるところまで手が回らなかったなどは残念ながらある話です。ですので「昨年度は何も指摘がなかったのに今年度問題があるのは担任に指導が悪いからだ!」と表面に出てくる情報だけに飛びついて学校とすぐに対峙することはできれば控える方が今後の円滑な話し合いに結びつきやすいと思います。そういうときには「昨年度は特に指摘をいただいてはいなかったのですが、昨年度の担任の先生からも心配な旨などを何か聞いていらっしゃいますか?」と一度は確認できるとよいと思います。

 

以上、小学校で発達検査を勧められたら確認したいポイントを3つご紹介しました。

1,担任が心配している言動と指導、その結果を具体的に聞き取る

2,学校や学童、家など複数の場所での言動を比べる

3,前年度や前々年度の言動と比べる

あくまで一例にすぎませんが、保護者の方々が学校と話し合われるときの整理などにご参考になれば幸いです。

 

なお、発達検査を活かすことを考えた場合にはこのような本が出ています。このブログでも何度かご紹介していますが、タイトルにある通り保護者の方々や学校の先生方にもお勧めです。

また、今後発達検査を取った場合、それをどう活かすについては以前に記事を書いていますのでよければそちらもご覧ください。長くなってしまったため3回に分けて書いており読みづらくてごめんなさい💦

educp.hatenablog.com

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最後までお読みくださりありがとうございました!

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